ステージの照明が落ち、スポットライトが彼女を照らし出す。流れてきたのは、誰もが知るあの名曲「フライングゲット」のジャズアレンジだった。かつての激しいダンスはない。代わりにそこにあったのは、スタンドマイクを握りしめ、視線一つで観客を支配する一人の表現者の姿だ。
歌い出しの瞬間、スタジオの空気が変わった。ささやくような、しかし芯のある歌声。アイドル時代の「あっちゃん」を期待していた視聴者は、良い意味で裏切られることになる。それは、30代半ばを迎えた彼女だからこそ表現できる、焦燥感と大人の色気が入り混じった全く新しいパフォーマンスだった。