連載から年月が流れた2026年現在も、国内外のクリエイターたちが「異種間の絆」や「敵役の人間的成長」を描く際、メルエムとコムギのプロットは参照され続けている。近年のヒット作に見られる「絶対的悪の苦悩」や「言葉に頼らない心理描写」のルーツを辿ると、多くがこのエピソードに行き着く。
デジタル作画やAI生成技術が高度に発達した現代だからこそ、冨樫氏が削ぎ落としたモノクロの「暗闇の数ページ」が放つ原始的な力強さが、一層の輝きを放っているのかもしれない。画面を埋め尽くす黒と、一言ずつの吹き出し。そこにはテクノロジーでは決して再現できない、人間の感情の揺らぎが凝縮されている。