サンフランシスコ平和条約は、日本を西側陣営に組み込み、急速な復興を遂げさせるための強力な枠組みだった。しかし、それは同時に、アジアにおける恒久的な平和構築を犠牲にした上での「部分的な和平」でもあった。ソ連も署名を拒否し、朝鮮半島も当事者として参加できなかった。
この歪んだ構造が、21世紀の安全保障環境において牙を剥いている。北朝鮮の核開発、ロシアとの北方領土問題、そして中国の海洋進出。これらすべての火種は、1951年のサンフランシスコで解決を先送りされた宿題なのだ。私たちは今、その宿題の重みに耐えかねている。