突然の嘔吐に直面したとき、パニックになって「とりあえず洗濯機へ」と急ぎたくなる気持ちはよくわかる。しかし、その判断こそが危険だ。体内に侵入したインフルエンザウイルスは、患者の体液や嘔吐物の中に大量に排出されている。これを他の衣類と一緒に全自動洗濯機で回すと、水流に乗ってウイルスが槽全体に行き渡り、家族全員の服を汚染する結果となりかねない。
さらに恐ろしいのは、乾燥時や洗濯物を取り扱う際に生じる「エアロゾル(微細な飛沫)」である。付着した嘔吐物が乾燥すると、わずかな摩擦でウイルスが空気中に舞い上がり、それを吸い込むことで同居人が二次感染を起こすのだ。通常の水洗いだけではウイルスの外膜を破壊できず、繊維の奥深くに残存してしまう事実を、まずは強く認識しておく必要がある。