公的医療保険の全体像を俯瞰すると、保険証の色による違いがなぜ生じるのかが明確になります。日本には大きく分けて「被用者保険(社会保険)」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3つの枠組みが存在し、それぞれ発行元が異なります。
中小企業の従業員が加入する協会けんぽ保険証(全国健康保険協会)では、長年にわたり水色系統のプラスチックカードが標準的に用いられてきました。しかし、同じ社会保険であっても大企業が単独または共同で設立する「組合健保」では、数千に及ぶ健保組合がそれぞれ独自にカード券面をデザインしています。青、ピンク、オレンジ、緑、ホワイトなど、バリエーションは多岐にわたります。
一方、自営業者やフリーランス、無職の方が加入する国民健康保険証の色は、運営主体である全国の市区町村が独自に決定しています。国保の大きな特徴は、保険証の色が変わる理由に直結する「定期更新」です。国保では保険料の未納対策や有効期限切れカードの不正使用を防ぐ目的で、1年〜2年ごとに一斉更新を実施します。その際、前回の更新と見分けがつくよう「今年は緑、次回はピンク、その次は水色」といったローテーションで色を変更する自治体が一般的です。
なお、会社員の家族が入る扶養家族の保険証の色について「扶養だと色が違うのか」と疑問を持つ方がいますが、被保険者(本人)と被扶養者(家族)で保険証の色が分かれることはありません。同一の健康保険組合から発行されるため、本人も扶養家族も全く同じ色・仕様のカードが交付されます。