ジビエファンの間で「ヤマドリの肉はジビエ料理の最高峰」と讃えられるのには明確な理由がある。最大のポイントは、一般的なキジ肉との歴然とした食感・香りの違いだ。
キジ肉は淡白で癖がなく、しっとりとした品の良い旨味が特徴とされる。一方でヤマドリの肉は、野性的な力強さと繊細な脂の甘みが驚くべき高次元で同居している。胸肉は驚くほどキメが細かく、噛み締めるほどに澄んだ旨味が溢れ出す。モモ肉は力強い弾力があり、骨の周りからは濃密な出汁が滲み出るのだ。特に皮下に蓄えられた脂肪分は、どんぐりを食べた個体特有のナッツのような芳醇な香りを纏っており、一口食べれば従来の鳥肉の概念が完全に塗り替えられる。