組織のトップとして指揮を執る岡本昭彦社長の戦略は明確だ。過渡期にあるメディア環境を見据え、伝統的なテレビ主体のビジネスモデルから、デジタル・グローバル・自社IP重視の多角化経営への舵切りを強烈に推し進めている。コンプライアンス遵守とオープンな組織統治への脱皮も、世界基準で戦うためには避けて通れない命題だった。
一方で、同社のクリエイティブの精神的支柱であり続けた松本人志の遺伝子は、今なお若手からベテランに至るまで色濃く脈打っている。彼が築き上げた斬新な発想力と、笑いに対する妥協のない美学。経営陣がどれほど近代化を進めようとも、現場の芸人たちが紡ぎ出す「狂気と笑い」の情熱こそが、吉本興業という組織のエンジンであることに変わりはない。