なぜ世界を滅ぼす「地鳴らし」を始めたエレンでも、王家の血を引くジークでもなく、ミカサが物語の終着点として選ばれたのでしょうか。そこには始祖ユミルが抱え続けていた2000年越しの心の傷が関係しています。
初代フリッツ王の奴隷でありながら、舌を抜かれ、利用され、死後も巨人の力を生み出し続けた始祖ユミル。彼女を縛り付けていたのは王への服従だけでなく、断ち切ることのできない「歪んだ愛」でした。王を愛しているからこそ命令に背けず、巨人の呪いを終わらせることができなかったのです。
ユミルが見守っていたのは、「エレンを誰よりも深く愛しながらも、世界を救うために自らの手でエレンを討つことができるか」というミカサの選択でした。ミカサはエレンへの愛を捨て去ることなく、彼を愛したまま首を切り落とすという究極の選択を下しました。その姿を見たユミルは「愛する人の過ちを止め、愛を抱いたまま決別することは可能だ」と悟り、ついに現世への執着を手放して巨人の力そのものを消滅させました。