日本帰国後、金原ひとみの執筆活動はさらに勢いを増していく。特にコロナ禍の人間模様と孤独を鋭く描き出した小説『アンソーシャル ディスタンス』は、谷崎潤一郎賞を受賞するなど高評価を獲得し、彼女の第二の代表作となった。初期の衝動的なスタイルから、社会と個人の交差点を見つめる成熟した眼差しへと変化を遂げた瞬間である。
近年、彼女の作品は紙の書籍にとどまらず、新たなメディアでの映像化展開も見せている。Amazon Prime VideoやNetflixといったグローバルな動画配信サービスを通じて、彼女が描くドメスティックかつ普遍的な恋愛観・家族観が世界中の視聴者へと届けられるようになった。出版業界の枠組みを超えた映像コンテンツ化の動きにおいても、元編集者である夫の助言や業界的洞察が間接的に寄与していることは想像に難くない。