錦織のキャリアにおける最大の転機は、つかこうへい作品との出会いである。1999年の『蒲田行進曲』で銀ちゃん役を演じた際、その凄まじい熱量と演技力で演劇界を震撼させた。天才劇作家・つかこうへいからその才能を絶賛されたことは、彼の人生を大きく変えることになる。
役者としての成功にとどまらず、彼は『舞台演出家』としての才能を開花させていく。つかイズムを受け継ぎながら、緻密で人間味あふれる演出技法を確立。若手俳優の指導にも定評があり、演出家・錦織一清の名は演劇界で揺るぎないポジションを獲得した。
激しい舞台の現場を仕切るには、強靭な体力と精神力が求められる。病弱どころか、舞台現場での彼は誰よりも声が大きく、エネルギーに満ち溢れているとスタッフは口を揃える。