現在の熊本大学ラグビー部が照準を合わせているのは、九州学生ラグビーリーグBグループからの脱出、そして悲願のAリーグ復帰である。九州の大学ラグビーリーグは厳格な昇降格制度を採用しており、Bリーグでのわずか一つの敗戦がシーズン全体の目標を打ち砕くこともある。
Bリーグ上位に君臨し続けることと、Aリーグへ昇格することの間には大きな壁が存在する。Aリーグの壁は厚い。大型FW(フォワード)を擁する私立大学とのフィジカルの差、層の厚さは一朝一夕には埋まらない。しかし、熊本大学は真正面からの力勝負だけを選ばない。
緻密なゲームプランと低く刺さるタックル
熊本大学の戦術的核となるのは、低い姿勢からのダブルタックルと、相手の体力を削る展開力だ。体格で劣るならば、相手の膝下へと愚直に刺さり続けるしかない。一人目が足元を削り、二人目がボールへ働きかける。この基本の徹底こそが、体格差を無力化する唯一の手段である。
さらに、BK(バックス)陣の俊敏性とハンドリングスキルを生かした幅の広い攻撃が組み合わさる。相手のディフェンスラインの穴を素早く見極め、スペースへボールを運ぶ。頭脳と技術を融合させたスピーディーなラグビーが、彼らの真骨頂だ。