漏れ伝わってくるジャンルの輪郭も見逃せない。本作の核心にあるのは、息もつかせぬ知略戦が展開するSFサスペンスの要素と、肉体の限界に挑む重厚なアクション映画のエッセンスが見事に調和したハイブリッドな構成だ。CGに過度に頼らないリアルなスタント描写と、緻密に張り巡らされた伏線が観客を圧倒する。
近年、既存のジャンル映画に対する観客の目は厳しさを増している。予定調和な展開を嫌う現代のオーディエンスに向け、これまでの定石を打ち破る挑戦的なクリエイティブが注ぎ込まれている。この野心的な試みが成功を収めれば、停滞が囁かれていたブロックバスター映画の潮流を根本から変革する契機となるはずだ。