ここでは、年収1000万円を目指す人が見落としがちな盲点を指摘したい。
第一に、児童手当や高校無償化などの所得制限だ。年収1000万円(正確には所得制限の基準額)を超えると、児童手当の特例給付が受けられない、あるいは高校授業料の無償化対象から外れる場合がある。夫婦共働きで世帯年収が1200万円〜1500万円になると、各種補助が受けられなくなる「年収の壁」に直面するのだ。
第二に、転職市場での流動性だ。年収1000万円のポジションは限られているため、一度その水準に達すると、転職先の選択肢は年収600万円の職種より少なくなる。特に40代を過ぎると、同等条件での転職は難易度が上がる。
第三に、税金と社会保険料の「見えない壁」だ。日本の所得税は累進課税のため、年収が1000万円を超えると限界税率が上がる。また、社会保険料の上限額付近に達するため、収入を増やしても手取りの伸びが鈍くなる。これが「働き損」を感じる原因になる。
ネット上では「年収1000万円=富裕層」「高級取りで楽して儲けている」という誤解も根強いが、実態は「責任と負担が重い、余裕のある中間層」という表現が最も近い。