本作がここまで視聴者の心を掴んで離さなかった要因の一つに、実在が噂されながらも謎に包まれている自衛隊の影の諜報組織「別班(べっぱん)」を主題に据えた点が挙げられる。国家の平和を守るためなら殺人すら辞さない非合法組織。このダークヒーロー的側面を持つ主人公・乃木憂助の二重人格的な造形は、正義と悪の境目を曖昧にし、観る者に強烈な倫理的問いを突きつけた。
国際テロ組織「テント」の真の目的が単なる悪ではなく、家族愛や孤児救済に根ざしていたという皮肉な構造も深みを与えた。冷酷なスパイアクションの裏に流れる泥臭い人間ドラマ。この二層構造こそが、ライト層からコアなサスペンスファンまでを一網打尽にした最大の武器である。