カメ飼育は、犬猫と比較しても初期費用こそ安いが、維持コストと時間は決して少なくない。電気代(ヒーター・紫外線ライト)、水道光熱費、フィルターの消耗品代を含めると、年間2万~4万円程度のランニングコストがかかる。さらに寿命が30年を超えるため、「最後まで飼い続ける」という時間的コミットメントが何より重い。
カメ飼育に向いている人は、生活リズムが安定しており、毎日10分程度の観察と掃除を習慣化できる人、そして「小さくても命の責任は数十年続く」という覚悟を持てる人だ。逆におすすめできない人は、転勤や進学などで今後10年以内に生活環境が大きく変わる可能性が高い人、水槽の水換えを「面倒」と感じて後回しにする人、そして「子どもが欲しがったから」と保護者が主体性を持てない家庭だ。
教育心理学の観点から言えば、ペットを「子どもの情操教育」として与える場合、主たる飼育責任者は必ず大人が担うべきだ。子どもに任せきりにした結果、水換えが滞り、カメが病気になり、死を経験することで子どもに罪悪感だけが残る。カメは「生き物の死」を教える教材ではなく、家族の一員として迎える存在だ。心理的バウンダリー(責任境界線)を最初に明確にしておかないと、飼育は必ず破綻する。