カネボウのガムを語る上で欠かせないのが、戦前・戦後のチューインガム文化を切り拓いたハリス株式会社の存在です。ハリス社は1928年(昭和3年)に創業し、日本で初めて本格的な風船ガムの量産に成功したパイオニア企業でした。戦後の混乱期、子どもたちがこぞって買い求めた「ハリスガム」は、甘味に飢えていた日本中に爆発的なブームを巻き起こしました。
一大転機が訪れたのは1964年(昭和39年)のことです。多角化経営を進めていた鐘淵紡績(後のカネボウ)がハリス株式会社を吸収合併し、「カネボウハリス株式会社」を設立。本業である繊維事業のノウハウに加え、全国規模の流通網と強固な資金力をバックに、本格的な食品・菓子事業への進出を果たしました。
その後、1970年代に入ると「カネボウ・ベルフーズ」への商号変更などを経て、ガムだけでなくアイスクリーム、スナック菓子、即席麺など幅広い食品カテゴリーへ展開を拡大。繊維メーカーの枠組みを超えた総合ライフスタイル企業として、食品部門はカネボウの収益を支える重要な柱へと成長していきました。