「この値段でこの厚み?」——初めて暖簾をくぐった者が例外なく漏らす感嘆の声がある。創業以来、ブレることのない基本方針は実にシンプルだ。最高品質の魚を、誰もが納得する良心的な価格で腹いっぱい食べてもらうこと。言葉にすれば簡単だが、近年の物価高騰の波の中でこれを継続するのは並大抵のことではない。
店主が語る仕入れの秘密は、長年培われた市場との強固な信頼関係にある。毎朝まだ暗い時間帯から中央卸売市場へ足を運び、目利き職人が自らの目で厳選した旬の魚だけを大量に買い付ける。中間コストを極限まで削ぎ落とし、回転率を上げることで圧倒的な原価率を実現しているのだ。シャリのほどけ具合、ネタの切りつけの美しさ。すべてが計算し尽くされたスピード感の中で生み出されていく。