雷は雲の底と地面の電位差によって発生する自然の放電現象であり、「より高い場所」「より電気を通しやすい突起物」へと誘導される物理的性質を持っています。気象庁の分析資料でも、被害が発生するロケーションには顕著な偏りが存在します。
典型的な危険エリアは以下の通りです。
- ゴルフ場・グラウンド・砂浜・田畑:周囲に遮るもののない広大な平坦地では、立っている人間自身が最も高い突起物となる。
- 山頂・尾根筋:物理的に雷雲までの距離が近く、落雷の直撃を受ける頻度が極めて高い。
- 海面・河川・プール:水面上に頭を出している状態は、水面というフラットな導電体の上に突起物が突き出ている状態と同じであり、極めて危険。
- 孤立した高い木の下:「雨宿り」として最も選ばれやすく、最も死亡事故が多い最悪のポイント。
痛ましい事故の教訓として語り継がれているのが、ゴルフ場や屋外競技場における「側撃雷(そくげきらい)」事故です。木に雷が落ちた際、木よりも電気抵抗の少ない人体へ向かって雷のエネルギーが横方向へ飛び移る現象を指します。過去の裁判例でも、ゴルフ場の運営側が雷鳴を確認していながら避難指示を出さず、大木の下で雨宿りしていたプレーヤーが側撃雷で被災した事案に対し、巨額の安全配慮義務違反が認定された判例が複数存在します。高い木から最低でも4メートル以上離れることは、屋外避難の絶対原則です。