日本心理学会の年次大会や現代の心理学研究において、いわゆる「毒親」と呼ばれる親の行動パターンに関する臨床データが集積されつつある。かつて重視されていた肉体的な虐待やネグレクトにとどまらず、近年は「感情の軽視」や「精神的コントロール」といった目に見えにくい圧迫が焦点となっている。
研究者が指摘する無意識の行動の共通点として、子供の自律的な感情を無効化してしまう態度が挙げられる。子供が悲しみや不安を訴えた際、「そんなことで泣くなんて情けない」「あなたのためを思って言っているのよ」と、親の論理で感情を塗り替えてしまう行為だ。親の側には「正しく育てている」という自負があるため、自らの言動が子供を追い詰めている事実に気づくことが極めて困難になる。