日本国内の報道では「年俸30億円」といった額面ばかりが強調されますが、北米プロスポーツの世界における手取りと税金の真相は極めてシビアです。米国に本拠地を置くアスリートには、日本とは全く異なる複雑かつ高率な課税構造が待ち受けています。
第一の壁となるのが米連邦所得税です。最高税率区分に該当するため、年俸の37%が連邦税として源泉徴収されます。さらに鈴木選手が本拠地を置くイリノイ州の州所得税が4.95%課税されます。
さらに米プロアスリートを悩ませる最大の特殊要因が、通称「Jock Tax(アスリート税)」と呼ばれる州外遠征課税です。メジャーリーグではアウェーでの試合数に応じて、ビジター球場が存在する州や市ごとに就労所得が発生したとみなされ、各自治体から個別に所得税が徴収されます。カリフォルニア遠征(最高税率13.3%)やニューヨーク遠征など、税率の高い地域で試合を行うたび、手取り額は容赦なく削られていきます。
これらに加え、選手会費、代理人(エージェント)への成功報酬(通例契約総額の3〜5%)、専属トレーナーや現地サポートスタッフの雇用費、米国での生活維持費を差し引くと、最終的な手取り額面比率は約45〜48%程度まで縮小します。つまり、2026年の年俸2,000万ドル(約30億円)であっても、鈴木選手の手元に純粋に残る金額はおよそ900万〜960万ドル(約13億5,000万〜14億5,000万円)程度というのが冷厳な税務的真実です。