口に入れた瞬間のインパクトを決めるのは、加熱によって変化するバターの化学反応だ。フィナンシェに欠かせない焦がしバター(ブール・ノワゼット)は、バター中の水分を蒸発させ、乳固形分がきつね色になるまで加熱することでナッツのような強烈な香気を放つ。これに贅沢なアーモンドプードルが加わることで、外側はサクッと香ばしく、内部はしっとり密度の高い独特のテクスチャーが完成する。
一方のマドレーヌは、全卵と溶かしバター、そしてほんのり効かせたレモンの皮やバニラが織りなす、ふんわりと優しい食感が魅力だ。近年は個人の製菓熱の高まりを受け、富澤商店のような専門店で製菓用高級発酵バターやアーモンド粉末を買い求め、自宅でその香りの違いを科学的に探求する愛好家が増えている。