公判の法廷で明かされた動機は、身勝手極まりないものだった。「日頃の生活に対する不満があった」「大勢の人が集まる場所で混乱を引き起こしたかった」。検察側の冒頭陳述や供述調書からは、社会に対する底知れぬ孤立感と理不尽な怨嗟が浮き彫りになった。ターゲットに選ばれたのは、華やかな雰囲気に包まれた伝統ある老舗百貨店。加害の刃は、何の罪もない買い物客へと無差別に向けられた。
被告側の弁護人は精神鑑定を請求し、刑事責任能力の有無について法廷で激しい議論が交わされた。しかし裁判所は、事前の計画性の高さや逃走工作の緻密さを重視。「強い殺意に準ずる悪質性と計画性が認められ、社会に与えた恐怖は極めて深刻だ」として、被告に対して厳しい判決を下した。犯行に使われたツールの入手容易性と、個人の身勝手な欲望が結びついたとき、いかに容易に大規模なテロ的混乱が巻き起こるかを、この事件は証明してしまった。