夜間の救急外来や消化器内科の診察室では、激しい腹痛にパニック状態となって運び込まれる患者の姿が日常的に見られます。SNSや知恵袋、医療相談プラットフォームに寄せられる生の声を分析すると、共通する切実な実態が浮き彫りになります。
ネット上の投稿で圧倒的に多いのは、「冷や汗と激痛でトイレの床に倒れ込み、救急車を呼ぶべきか1時間葛藤した」「恥ずかしくて呼べなかったが、意識が遠のきかけて限界を感じて119番した」という告白です。実際に現場へ急行した救急救命士の手記や医師の報告によれば、現場に到着した時点で患者が便座の横で脱水とショック状態に陥っているケースは珍しくありません。
「便秘程度で救急車を呼んだら怒られるのではないか」という心理的ブレーキが多くの患者に働いています。しかし、医療従事者の見解は明確です。「強い腹痛に冷や汗や嘔吐を伴っている時点で、患者自身が病名(単なる便秘なのか、閉塞や穿孔なのか)を特定することは不可能です。激痛と全身症状があるなら、救急要請は決して不適切な利用ではありません」。
一方、救急搬送された結果、「摘便(医師が指で直腸の硬便を掻き出す処置)」や浣腸によって痛みが劇的に消失し、恥ずかしさから自己嫌悪に陥る患者もいます。しかし、出口を塞ぐ巨大な便塊は自力排泄が物理的に不可能な状態に達している証左であり、医療介入なしには解決できなかった正当な処置です。命に関わる急性腹症を除外できたこと自体が最大の収穫であり、受診を躊躇して自宅で失神・転倒し頭部を打撲する二次災害こそ最も防ぐべき事態といえます。