ペンシルベニア州やインディアナ州に広がるラストベルト(錆びついた工業地帯)の現場では、今なお警戒感と期待が背中合わせで存在する。全米鉄鋼労働組合(USW)は、過去数十年にわたり繰り返されてきた「リストラと工場閉鎖」の歴史を忘れていない。
労組側が求めたのは、単なる資金調達の約束ではなく、労働協約の完全履行とレイオフ(一時解雇)なき操業継続の明記だった。経営陣と日米双方の交渉団は、組合役員との度重なる膝詰めの協議を重ねた。雇用保障と現地経営陣の権限維持を盛り込んだ合意文書の交わしが、現場の信頼を徐々に勝ち取る鍵となっている。