一方、スクリーンで魅せる狂気と執念の芝居もまた、映画ファンの語り草となっている。新井英樹の伝説的漫画を映画化した『愛しのアイリーン』で見せた迫真の怪演は、観る者の語彙を奪うほどの圧倒的なパワーを放った。過疎化の進む村で息子を歪んだ愛で縛り付ける母親役は、まさに日本映画界史上に残る凄絶な名演として今なお称賛されている。
さらに、大ヒットを記録した映画『ラストマイル』など近年の話題作においても、短い出演時間で観客の記憶に強烈な刻印を残す手腕は健在だ。狂気から慈愛、さらにはどこにでもいる市井の庶民まで、どんな役柄であっても命を吹き込むその手腕は、日本映画のクオリティを底上げする絶対的なピースとなっている。