ふたりの辿った対照的な軌跡は、日本のアイドルビジネスの構造的な問題点を浮き彫りにした。
メンバー同士を露骨に競わせ、精神的な限界まで追い込むことで熱狂を生み出す手法は、平成のAKB48ブームを支えた原動力だった。しかし、そのシステムは演者である少女たちに甚大な代償を支払わせていたことも事実だ。
メンタルヘルスのケアや過剰なバッシングからの保護が叫ばれるようになった現在、8年前のナゴヤドームの事件は、「過剰な競争主義がもたらした悲劇」として業界内で教訓化されている。アイドルの幸福とは何か、健やかな活動環境とはどうあるべきかという議論は、あの痛ましい摩擦があったからこそ加速したとも言える。