久保本家酒造の醸造改革を語る上で欠かせない人物がいる。かつて同蔵で腕を振るい、生酛造りと純米熟成酒の金字塔を打ち立てた伝説の杜氏・加藤喜代司氏だ。加藤杜氏は「冷やで旨い酒ではなく、温めて真価を発揮し、料理を活かす酒こそが本物」という固い信念のもと、力強い生酛の酒質を確立した。
その熱い意志と技術のDNAは、11代目当主である久保順平氏へと受け継がれている。久保順平氏は伝統の造りを守るだけに留まらず、ブドウ糖や調味料に頼らない米100%の純米酒造りを推進。時代の流行に翻弄されることなく、「食卓の名脇役」として寄り添い続ける酒造りの理念を今なお深化させている。