この潮流を決定づけた金字塔といえば、間違いなく『孤独のグルメ』だろう。松重豊が演じる井之頭五郎が、ただひとり街の定食屋で黙々と飯を食う。大袈裟な事件も愛憎劇も起きない。ただ男が胃袋を満たし、心の中で独り言を呟くだけのドラマが、なぜこれほどまでに人々を虜にしたのか。
その答えは「飾らない日常の贅沢と共感」にある。松重豊の繊細な表情の変化と、男の哀愁を感じさせる立ち振る舞いは、多忙な現代人の癒やしとなった。さらに、この成功は地上波の枠を超え、NetflixやU-NEXTといったグローバル配信プラットフォームを通じて世界中に拡大している。海外のアジア圏や欧米の視聴者からも「日本の熟年男性の日常が愛おしい」「静かな感動がある」と絶賛され、ローカルな深夜ドラマが世界市場を制する時代が到来した。