レース中のコーナーワークや最後の直線における落馬、さらには育成牧場や乗馬クラブからの脱走事案など、馬が関係する事故は毎年のように全国で発生しています。特に近年は監視カメラやドライブレコーダーの普及により、市街地を疾走する馬の映像がニュース番組やSNSで拡散され、社会的な関心と危機感が一段と高まりました。
競走馬のレース中における落馬事故の経緯を分析すると、前の馬につまずく「前のめりの転倒」や、他馬との接触によるバランス喪失、コーナーでの斜行といった極限状態での判断ミスが引き金になっています。時速60キロメートルを超えるスピードで密集して走る競馬において、わずか数センチメートルのコース取りの乱れが、後続馬を巻き込む多重落馬事故へと直結します。
一方、市街地での脱走トラブルは、馬房の施錠不備や輸送中のゲート開放、あるいは調教中の物音にパニックを起こして騎乗者を振り落とし、そのまま逃走するパターンが大半を占めます。草食動物特有の「逃走反応(フライト・レスポンス)」が働くと、興奮状態の馬は前方の障害物を認識しにくくなり、自動車や歩行者との凄惨な衝突事故を引き起こす原因となります。