なぜ人々は、リスクを冒してまでこの過激な表情をネット上に公開するのか。自撮り表情の心理という観点から分析すると、そこには現代の若年層が抱える「承認欲求の二重構造」が浮かび上がってきます。
第一に、「完璧な美しさへのプレッシャーからの回避」です。加工アプリによって誰もが美しく見せられる時代において、単なるキメ顔自撮りは埋没しやすいうえ、「必死に盛っている」という嘲笑の対象になるリスクがあります。あえて極端に変顔を晒すことで、「私は見た目に執着していない」「ユーモアが分かる人間だ」という自己防衛(セルフ・ハンディキャッピング)を機能させているのです。
第二に、「心理的バウンダリー(境界線)の侵犯による快感」が挙げられます。タブー視される性的な記号を、パロディという安全な仮面を被って公の場に持ち出す行為は、社会的な規範に対する小さな反逆であり、観衆からの強いリアクションを引き出す強力な手段となります。サブカルチャートレンドがアンダーグラウンドとマスを行き来する際に見られる特有の現象と言えます。