本作を深く理解する上で欠かせないのが、頻出するストリートスラングと象徴的なワードチョイスです。ケンドリックの知的な言語戦略は、敵対レーベルの看板すらも武器へと変貌させました。
まず、ドレイクが主宰するレーベル「OVO(October's Very Own)」に対し、ケンドリックは「O-V-Hoe(OVOのビッチ共)」という蔑称を浴びせました。単なる語呂合わせにとどまらず、レーベルを取り巻く側近たちの行動規範やモラルの欠如を糾弾するOVO ディス 意味 真相がここにあります。
さらに重要なのが「Colonizer(入植者/植民地主義者)」というフレーズです。歌詞中では以下のように歌われています。
「Atlanta was the making of you, not the making of Compton. You called Future when you didn't see the club... You run to Atlanta when you need a check balance, let me tell you 'bout the culture. You ain't no mentor, you a colonizer.」
(お前を作ったのはアトランタだ、コンプトンじゃねえ。クラブでウケなくなったらフューチャーに泣きつき、数字が欲しくなればアトランタの流行りに飛びつく。言っとくが、お前は若手を導く指導者なんかじゃない。カルチャーを食い物にする『植民地搾取者』だ)
カナダ・トロント出身で裕福な育ちを持つドレイクが、アトランタ、メンフィス、ヒューストン、さらにはロンドンのグライムやカリブ海のダンスホールなど、各地のローカルシーンが苦心して築き上げた最新トレンドを次々に「つまみ食い」して自らの商業的延命に利用してきた姿勢を、歴史的な搾取構造に重ね合わせて告発しているのです。