あの日、ワシントンD.C.一帯は記録的な大雪に見舞われ、空港の滑走路は断続的に閉鎖されていました。フロリダ州フォートローダーデールへ向かう予定だったエア・フロリダ90便(乗客74名・乗員5名)は、出発が1時間以上遅延し、機体の上には容赦なく雪が降り積もっていました。
ようやく滑走路へ向かう許可が出たものの、地上での待機時間が長引いたことで機体表面は再び凍結していきます。15時59分、同機は滑走を開始しました。しかし、通常よりも加速が明らかに鈍く、機首を上げて離陸した直後に強烈な失速警報(操縦桿を振動させるスティックシェイカー)が鳴り響きます。
機体は規定の高度に達することなく失速し、離陸からわずか30秒足らずで第14丁目橋の幹線道路に激突。走行中の車両7台を押し潰しながらガードレールを破壊し、氷結したポトマック川へと突っ込みました。機体は真っ二つに割れて水深約2メートルの川底へ沈み、極寒のキャビンに氷水が一気に押し寄せました。