現役引退から歳月が流れたいま、彼の肩書は「元サッカー選手」から「バイオベンチャーの旗手」へと完全に塗り替えられた。立ち上げ当初はアスリートのネームバリューを借りた一時的な挑戦と見る向きも少なくなかった。だが、彼が構築したのは一過性のタレントビジネスとは対極にある、地道で緻密な科学的アプローチだった。
彼が着目したのは、自らの母から教わった「お腹を整えることの大切さ」という原体験だ。トッププロとして戦い抜く中で培った体調管理の知恵を、学術的・科学的なエビデンスへと昇華させる作業に没頭した。国内外のトップアスリート1,000人以上から便サンプルを収集し、その腸内環境を解析するという前代未聞のプロジェクトは、研究機関すら巻き込む巨大なうねりへと成長していった。
独占取材の中で彼が語ったのは、徹底した現場主義だ。「事業を成功させるための秘訣なんて、特別なものはありません。ピッチと同じで、毎日泥臭く走り続け、仲間を信じてパスを繋ぐことだけです」。2026年を迎えた現在、同社は従来のサプリメント領域を越え、個別化されたヘルスケアソリューションを提供するグローバル企業への飛躍を遂げている。