フランス料理の最高峰教育機関であるル・コルドン・ブルーで教え込まれる基本中の基本、それは「スープを絶対に沸騰させないこと」だ。ボコボコと激しく泡立つ状態で煮込むと、素材から出た脂分と水分が乳化し、スープが白く濁ってしまう。プロの技術は、表面がわずかに揺れる程度の微弱な火加減(85度〜90度前後)を保ち続ける点にある。
日本を代表する巨匠・三國清三シェフも、素材へのリスペクトと丁寧な火入れの重要性を常に説いている。肉の旨みを閉じ込めつつ、野菜のナチュラルな甘みを最大限に引き出すためには、急がず焦らず、素材と対話するように弱火で静かに時間をかける姿勢が欠かせない。
この「濁らせない煮込み術」をマスターすれば、まるで高級フレンチレストランで提供されるコンソメスープのような、透明感溢れる黄金色のポトフが完成する。