実父である橋下勝氏についての記憶は、橋下氏自身にとってもきわめて断片的なものにとどまる。自身が幼い頃に父親が亡くなったため、父親としての温もりや教えを直接受ける機会はほとんどなかった。その穴を埋めたのが、他でもない実母の存在である。
母は女手一つで家庭を支え、過酷な労働に耐えながら子どもたちを育てるために奔走した。自分を理不尽な世間の偏見から守り抜いてくれた母親への感謝と尊敬の念は、橋下氏の思考の底流に深く根を張っている。自らの力で生き抜く強さ、どんな逆境に立たされても屈しない雑草魂は、父親の早世という悲劇と、それを乗り越えようとした母の生き様から直に引き継がれたものだと言えるだろう。