1770年代、探検家ジェームズ・クックの第2回太平洋航海に同行したヨハン・ゲオルク・フォルスターが記録を残した当時、この生物の浮遊機構や毒の再利用システムは深い謎に包まれていた。当時の学界では、自ら分泌した粘膜で浮いていると推測されていたが、現代の海洋生物学はその精密なメカニズムを解明している。
彼らは胃の中に空気の泡を飲み込むことで浮力を調整し、上下逆さまの状態で海の表面張力を利用して漂う。青い腹側を上に向けることで、空飛ぶ鳥からは海の青さに溶け込み、下方の魚からは太陽の光線に紛れるという「カウンターシェーディング」と呼ばれる高度な擬態を達成しているのだ。単なる偶然の産物ではない、途方もない進化の系譜がここにある。