求償権の本質は、法律上の公平性を保つための「精算の権利」にあります。複数の人間が関わる債務や、他人の責任を肩代わりして弁済した場合、支払った側だけが過度な金銭的損害を被るのは法秩序として正当ではありません。そこで民法は、弁済を行った者が本来責任を負うべき他者に対し、その負担割合に応じて「自分が肩代わりした分を返せ」と法的に請求することを認めています。
典型的な法的根拠の一つが、連帯債務について定めた民法442条における求償権の成立要件です。同条第1項では、連帯債務者の一人が弁済を行い、他の債務者も共に債務を免れたときは、その債務者は各自の「負担部分」に応じて求償権を行使できると規定しています。単にお金を支払ったという事実だけでなく、「その支払行為によって主たる債務者や共同責任者の債務を消滅させた」という法的免責の結果が成立要件の核心となります。
実務上、求償権が威力を発揮する場面は多岐にわたります。連帯保証人が金融機関へ一括返済した場合はもちろん、信用保証協会が中小企業融資を代位弁済したケース、さらには複数人の過失による事故賠償や、男女問題に端を発する慰謝料問題など、民事トラブルの多くの終着点にこの求償権が位置しています。