1987年から数年間にわたり、米経済誌フォーブス(Forbes)の世界長者番付で1位に君臨した堤義明。当時の推定資産額は数十億ドル(日本円で兆単位)にのぼり、まさに「世界一の大富豪」の名をほしいままにした。全国に広がるホテル、スキー場、ゴルフ場、そして鉄道路線網。これらすべてを統率した西武グループのカリスマ的権力は絶対的なものに見えた。
だが、その強固に見えた栄華は一瞬にして崩壊の局面を迎える。大きな転換点となったのが、2004年に表面化した有価証券報告書虚偽記載事件だ。名義株を用いた株式保有比率の不透明な偽装が発覚し、西武鉄道株式会社の上場廃止という激震が走った。長年にわたりグループの深部に隠されていた統治の歪みが暴かれ、絶対的経営者としての足場は急速に崩れ去っていった。