毎年5月末、この公園は日本最大級の野外クラフトフェアの舞台へと変貌を遂げる。1985年にスタートした「クラフトフェアまつもと」は、全国の作り手と使い手が直接言葉を交わすカルチャーの発信源として発展してきた。しかし、2026年代前半に直面した過度な混雑と環境負荷への反省から、2026年の現在、フェアの運営形態は劇的な深化を見せている。
混雑のピークを分散させるデジタル整理券の導入や、公園の植生を保護するための出展ブース配置の抜本的な見直し。かつての過熱した商業フェス感は影を潜め、芝生と樹木の息遣いを壊さないスローな対話の場へと回帰した。「ただモノを売るのではなく、手仕事の背景にある暮らしの思想を手渡す」。芝生の上に並べられた木工の器や吹きガラスに初夏の木漏れ日が落ちる光景は、大量生産と即日配達に慣れきった都市の消費感覚を根底から揺さぶる力を持っている。