物語の根底にあるのは、究極の人間を人工的に作り出すという遺伝子実験のストーリーだ。文字通りSFコメディの枠組みから出発しながらも、ストーリーが進むにつれて探しているのは「生き別れた母親の愛」という普遍的なテーマにシフトしていく。
高級車を盗み日常を器用に生き抜こうとするビンセントと、世間知らずだが純粋無垢なジュリアス。対極の人生を歩んできたふたりが、互いの欠けている部分を補い合いながら絆を深めていく過程は、今見返しても胸を打つ。単なるバタバタ劇に終わらないエモーショナルな深みが、本作を単なる一発屋の娯楽作とは一線を画す存在にしているのだ。