法的な根本をなすのは、刑法第199条が定める殺人罪の規定である。そこには死刑、無期懲役、あるいは5年以上の懲役という幅広量刑の選択肢が与えられている。この広大な振り幅の中から、究極の選択を切り取る作業こそが日本の刑事司法の現場で連日繰り広げられている。
2009年に導入された裁判員制度は、その判断プロセスに大きな地殻変動をもたらした。市民の良識が法廷を持ち込まれたことで、従来の一律的な量刑傾向に新たな視点が加わる事例が増加している。証拠調べる現場の生々しい感触に触れる市民裁判員たちは、プロの裁判官とは異なる視点から罪と罰の重さを引き比べ、より納得感のある判決理由の言語化を求めている。