従来のチャットツールは、推敲を重ね、整えられた文章を相手に届けるための仕組みだった。しかし、現在急速にシェアを伸ばしている新世代のツールでは、入力中のテキストがそのまま相手のスクリーンに反映される。つまり、「書き言葉」でありながら、「話し言葉」のような即時性と不可逆性を持つ。
東京・渋谷のカフェで仲間とアプリ画面を覗き込んでいた大学3年生の女性(21)は、「普通のメッセージだと、相手が何分も『入力中…』になったまま返ってこないと不安になる。でも相手の打ち直しが見えれば、悩んでいる理由が直感的にわかる。心理的なタイムラグがゼロになるのが心地いい」と語る。
相手が一度「明日あいてる?」と打ち、それを消して「来週でもいい?」と打ち直す過程。その数秒間の迷いこそが、言葉以上の感情を雄弁に物語る。飾り立てられたテキストコミュニケーションに対する疲弊感が、この「生々しさ」への欲求を後押ししているのは確実だ。