ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥教授のキャリア選択は、この職位の新たな可能性を示す象徴的な例として語られる。山中氏は京都大学iPS細胞研究所の所長を退任した後、同研究所の特任教授として研究活動や特定基金の獲得、若手の育成に専念する道を選んだ。
トップ研究者が行政的な組織管理から身を引き、研究そのものや外部発信に集中するためのアジール(避難所)として特任の立場を活用する動きは、海外のトップ大学では一般的だ。学内の雑務から解放され、尖った成果を出し続けるための戦略的ポストとしての機能がここにある。
組織のトップとしての重責を終えたベテランが、その圧倒的な知見と人脈を維持したまま現場に留まり続けるための受け皿としても、この制度は有効に機能している。