こうした意識の劇的な変化は、制作現場やビジネスの根幹にも及んでいる。テレビ朝日をはじめとする大手局では、番組制作におけるアライ(理解者)育成研修や、セクシュアリティに配慮した取材ガイドラインの策定が急速に進行中だ。かつて存在したバラエティ番組での無神経なテロップや嘲笑的な煽りは、コンプライアンスの観点からも完全に姿を消しつつある。
さらに、マーケティングの覇者である電通グループなどの大手広告代理店も、ダイバーシティ&インクルージョンを企業の最重要課題に掲げる。人権配慮に欠ける報道や番組制作に対しては、スポンサー企業からの厳格な審査が入る時代だ。放送業界全体が、単なる視聴率稼ぎではない「社会的価値の創出」へと軸足を完全に移し始めている。