ストリート誌の読者モデルとして活動していた彼女の運命が大きく動いたのは、まさにデビュー曲「PONPONPON」のMVが公開された瞬間だった。目玉が飛び出し、ピンク色の脳みそが舞い散る映像美は、当時の日本のTVメディアが好む「王道アイドル像」とは対極に位置するものだった。だが、この常識外れのビジュアル表現こそが、海外のリスナーやクリエイターたちの好奇心を激しく刺激したのだ。
当時の制作裏話として語り継がれているのが、撮影現場での徹底したこだわりだ。CG全盛の時代にあえてアナログな美術セットを大量に持ち込み、独特の立体感と「不気味かわいさ」を演出。現場スタッフの予想を遥かに超える勢いで世界中のブログやSNSにシェアされ、レディー・ガガやケイティ・ペリーといった海外大物アーティストが「このMVは信じられない!」と絶賛の声を上げる事態にまで発展した。無名の新人モデルが瞬く間に地球規模の流行を作った背景には、妥協のないクリエイティブ精神と時代を引き寄せる直感があった。