「半袖でいるよりも、腕を覆った方が涼しい」。一見すると矛盾しているように思えるこの知見が、今夏の防災・健康科学の現場では新常識として定着しつつある。人間の体温調節機能において、前腕部は太い血管が皮膚表面近くを通る熱交換の要所だ。直射日光を直接肌に受けると、紫外線によるダメージだけでなく、輻射熱によって皮膚表面温度が急上昇し、深部体温の低下を妨げてしまう。
専門家は「直射日光による熱エネルギーの侵入を防ぎつつ、高導熱性の生地で体熱を迅速に拡散させることこそが、熱中症予防の最短ルート」と指摘する。長時間の外出や屋外作業において、素肌を露出した状態よりも、高機能な冷感生地で腕を覆う方が、発汗による気化熱効果と相まって体感温度を低く保てるのだ。