アニメーション制作を手がけたマッドハウスの手腕も見逃せない。飛躍する真琴の身体の動き、背景に広がる夏の陽光や入道雲、ノスタルジックな路地裏のグラデーション。躍動感あふれる作画と緻密な美術設定が、観客を瞬時にあの夏の空間へと引きずり込む。
そして何より、主人公・紺野真琴の声を演じた仲里依紗の圧倒的な存在感だ。当時の彼女自身が持っていた等身大の瑞々しさ、飾らない演技スタイルが見事にハマり、アニメ特有の記号化された美少女像とは一線を画す「実在する高校生」のリアリティを生み出した。
転んで服を汚したり、大声で笑ったり、泣きじゃくったりする真琴の感情表現は、仲里依紗の声を得たことで最高潮に達した。この声のキャスティングこそが、作品全体に疾走感と切なさをもたらした最大の要因の一つである。