このブームの背景には、極めて深刻な原材料不足がある。貴腐ワインの代名詞であるフランス・ソーテルヌ地方では、近年の異常気象によって「貴腐菌(ボトリティス・シネレア)」が理想的な形でブドウに付着しない年が続いている。収穫量が例年の半分以下に落ち込むワイナリーも珍しくない。
「今年は本当に奇跡的なタイミングでしか収穫できなかった」と、現地でブドウ栽培に携わる醸造家は肩を落とす。ただでさえ手間暇がかかる貴腐ワインが、さらに手に入りにくくなっているのだ。その貴重なワインを惜しげもなくレーズンに染み込ませ、極上のショコラで包み込む。価格が高騰するのは必然であり、それがかえって「見つけたら即買いすべき幻の品」としての価値を押し上げている。