SNSのアルゴリズムに乗って急速に認知を広げた「きさちゃん帝国」ですが、端的に言えば配信者・インフルエンサーを中心としたリスナー参加型のオンラインコミュニティおよびその派生ムーブメントを指します。名称のインパクトから「新興宗教か」「怪しいビジネス団体ではないか」と警戒する声も一部で見られましたが、実態はライブ配信プラットフォーム特有の「内輪ノリ」が巨大化した文化現象です。
中心人物として名指しされる人物の経歴を紐解くと、もともとは動画投稿アプリやライブ配信サービスで活動していた一般配信者であり、特定の配信枠で熱狂的なファン層を囲い込んだことが始まりでした。「帝国」という仰々しい呼称は、リーダー格である「きさちゃん」を頂点とし、リスナーやモデレーターが臣民・親衛隊のようなロールプレイを楽しむ配信上のジョーク設定が定着したものです。
しかし、界隈の外側にいる一般ユーザーから見れば、独特のスラングを連呼し結束力を誇示する集団の姿は異様な光景に映りました。ネットカルチャーを専門に追うデジタルメディアの調査員は「配信枠の中だけで共有されていた文脈が、切り抜き動画やX(旧Twitter)のトレンドを通じて無作為に外部へ流出したことで、『何者なのか』という強い疑問と警戒感を急速に煽ることになった」と分析しています。