吸引分娩後に見られる特徴的な頭の形状は、決して医療ミスや赤ちゃんの異常ではなく、産道を無事に通過するための生理現象と吸引圧が複合して起こるものです。
新生児の頭蓋骨は、大人と違って1つの硬い骨郭にはなっていません。大泉門や小泉門と呼ばれる隙間を残し、前頭骨・頭頂骨・後頭骨などの複数の骨板が繊維性の膜でつながった構造(頭蓋縫合)をしています。狭い産道を通る際、骨同士を重ね合わせて頭の体積を一時的に縮小させる「モデリング(応形機能)」と呼ばれる仕組みが備わっています。
吸引分娩では、陣痛微弱や胎児機能不全の際に、金属製またはシリコン製のカップを赤ちゃんの頭頂部後方に装着し、陰圧をかけて牽引します。この強力な陰圧によって頭皮下の皮下組織に局所的なむくみ(浮腫)や内出血が生じ、縦方向に引き伸ばされたような「とんがり頭」が形成されます。赤ちゃんの頭蓋骨が柔らかいからこそ、脳を圧迫から守りつつ急速に娩出できた証拠でもあります。